音楽への想い

~楽器との出逢い~

 こそっと始めたホームページですが、2020年2月現在、実はいろんな人に「見つけたよー!」と言われており、呼吸をするように情報が溢れている時代に驚いています。

 私がトロンボーンとアコースティックギターという、世界を大きく変えた楽器に出逢ったのは中学校でのことでした。トロンボーンは中学校の吹奏楽部で優しい先輩に誘われて憧れて、そしてギターはなんとゴミ捨て場から知り合いの人が拾ってきて(笑)、当時兄に渡されたものを兄より弾けるようにしてしまえば、事実上私のものになる!という野望からでした。好きこそものの上手なれ、楽しくてびっくりするほど練習した憶えがあります。

 音楽一家でもなく、特別に裕福でもない、何気ない日常に音楽がそばにあったことは私にとって驚くほど幸せなことになりました。

~レッスンとの出逢い~

 私が中学生時代に一番打ち込んだことは、やはり音楽で、当時ほんの少し田舎(とてもいい町です)の中学校でトロンボーンを吹いていた私にとって、圧倒的に少なかったのは「正しい情報」の量でした。トロンボーンの専門家に教えて頂いたレッスンは恐らく3回もなかったと思います。年に1回、いつお越し下さるかは分からないけれど遠方からお越し頂いた専門家の方に教えて頂く時間はとても貴重でした。

 ただ、今になってもすごく悔やまれるのは「パート練習しか時間がとれず、個人の奏法の相談をすることができなかったこと」でした。これは現代の児童・生徒・学生の皆さんも同じだと思います。

 月に1回発行されるBand Journalという本の巻末にある「ワンポイントレッスン」のページを手書きで五線譜に写して自己流で勉強する。これが中学生の私のすべてでした。今思うともっとトロンボーンのために書かれた楽曲に触れられていれば、トロンボーンのための教則本に触れられていれば、とその時にしかできなかったはずの大切な3年間での悔しさは残っています。マンツーマンだからこそできることがある、これは今の考えにつながっています。

~大好きな師匠との出逢い~

 高校生になり、朝9時から夜21時まで楽器を吹けるような幸せな環境へ進学した私は、高校1年生のとき初めて師匠に出逢います。月に1回、パートでレッスンを受けたい人が4人だけ、愛知県は金山まで師匠のいらっしゃるレッスン場所へ行けるという(今思うとなんとも面白いシステム)、方法でした。個人レッスンで受けられる時間は30分だったので、ものすごい量の箇条書きをして、質問という質問攻め、全力投球・全力集中した時間でした。

 師匠にはたくさんのことを教わりました。私にとって、トロンボーンがこんなに大好きになったのは先生のおかげが大変な割合を占めるのですが、きっとその一番居心地が良かった理由は「先生が否定する言葉を使わなかった」ことでした。「できない理由の具体的な分析」「どんな練習法を使うと改善されるのか」「新しい提案」。たった30分でしたが魔法のような時間でした。自分のお小遣いを握りしめて都会へ向かう感覚は今でも忘れることがありません。

 そして、今でも私は師匠にレッスンをして頂くのですが、トロンボーンの神様みたいな方です。

~挫折と成功と~

 過去の人生でどこか願いが叶うとしたら?と聞かれるとやはり「音楽大学には行ってみたかった」かもしれません。(2020年現在です笑)

 貧困を抱えて生きていた家庭だったので、音大は遠すぎる夢のまた夢、私立短期大学の音楽科も、私立4年制の普通大学も、国公立の普通大学も進学が難しい状況でした。

 それでも、改めて人生を振り返ると国公立の音楽大学を目指すのが一番良かったと思うのですが、ピアノやソルフェージュ等、当時公立高校音楽科受験に必須だった科目の習い事すらできなかったツケは大きく。また、岐阜県には国公立4年制の音楽大学がないこともあり、下宿費用などの算出をしてもやはり難しく、憧れの大学は金銭的に叶わず就職を選びます。生まれた環境に左右されることは絶望に近い大きな挫折でした。

 就職した後、小さな頃からの夢だった「先生」という職業、「吹奏楽部の顧問になりたい」という想いで、やはり大学への夢は諦めきれず、貯めた給与と奨学金で自身で学費を賄える近隣大学へ教員免許資格取得のため社会人入試で進学しました。

 車がなかったので大学へは5万くらいで買ったボロボロの原付でよく通っていました。深夜3時までバイトして帰るのは寒かったなぁ。でもいい仲間に恵まれて楽しかったなぁ。それが全部学費になって、自分への投資となって今がある。他人の貧乏話や苦労話ってあまり面白くないと思うのですが、この時の挫折が私の爆発的な原動力になっていて語らざるを得ない歴史です。

 今ではありがたいことに夢だった高校の非常勤講師も務めています。当時、大変身勝手なわがままで退職することになってしまった当時の会社には、そして今でも応援して下さる、上司・同僚の皆様には本当に心から感謝しています。

~自分がレッスンするときの願い~

 レッスンを受けに、交通費とレッスン代を握りしめて遠くまで向かっていたあの頃を振り返ると、身近にレッスンが受けられる居場所があったらいいなぁと大人になって強く思うようになりました。

 中学3年間は、高校3年間は本当にその時限りのもので、一瞬しかなくて、15歳にしかできないこと、18歳にしかできないこと、その時の自分と向き合うことで得るものがいっぱいあると思います。

 そこに確かな知識や技術があることで、大きく人生を変えられると私は体感してきました。

 そして、私は過去の自分に投資をするように、今、未来に活躍する音楽家のみなさんへ何かを伝えられたらと思います。

 この居場所づくりが誰かの音楽にとって何か一石を投じることができればと願います。

~少しあとがき~

  社会人の方のレッスンや、アコースティックギターの話がだいぶ疎かになってしまいました。

幅広い年代の方が来て下さって、笑いが溢れるレッスンを楽しんでいるのですが、この話はまた春頃に。